有馬記念 出走馬適性分析

西園寺アスカ

2022年 有馬記念、全出走馬適性分析

アカイイト

前走のエリザベス女王杯では4着。雨が降る重馬場で行われ、5着まで全て2桁馬番が独占するという、圧倒的な外有利かつタフさを問われる展開。安定したパフォーマンスを見せて4着だったが、昨年より着順を落とした要因は、レベル差が大きいと思っていて、制した21年より今年は後に香港ヴァーズを勝つウインマリリン、オークス秋華賞で馬券圏内のナミュールら層が厚かった。

この馬が好走するなら時計が掛かって、尚且つ昨年のエリ女杯のように前半からペースが流れて各馬が消耗する形がベスト。21年はラップが緩んだ地点で押し上げた幸騎手の好騎乗も光っただけに、好走するなら展開の恵みと騎手の閃きが必須条件。

アリストテレス

今年は目黒記念京都大賞典に出走していずれも2桁着順。G1以外の重賞ですら圏内に食い込めてないのを見ると、ここではレベル差が大きい。

速い脚がないので、高速馬場で行われた上記の2走よりも適性的には向くだろうが、トップレベルでどうこうできる力もないかな。

イクイノックス

前走天皇賞秋で見事G1初勝利を収め、今回は3歳勢トップとして人気も背負う。

パンサラッサの単騎逃げで後続はドスローの瞬発力勝負という中で、中団から持ち味の末脚を繰り出した。府中向きの馬が有馬のトリッキーなコースに泣くというのはありがち(ジャスタウェイミッキークイーンラブリーデイ、アーモンドアイなど)

皐月賞2着に関しては早めに動いてバテたところをジオグリフに差された。これだけ見ると中山適性に疑問符が付きそうだが、5ヶ月長欠明けでクラシック始動戦でダービーを見据えた仕上げなので、極端にケチを付けたくはないな。

有馬の舞台に身を転じた時、恐らくハナを切るであろうタイトルホルダーはこの馬の存在を意識して乗って来るだろう。タイトルホルダーの項目で取り上げるが、今年の宝塚のようなハイペースで行って中盤緩んでコーナー勝負とかの持久戦になってくると脚が上がる心配はあると思う。

イズジョーノキセキ

2走前府中牝馬Sでは後方内で脚を溜め、馬群を縫ってソダシを破った。

前走のエリ女は10着に大敗したが、道悪も影響しただろうし、2200mの距離も気性的に難しい部分はあっただろう。更に今回は距離延長で挑むので簡単ではない。大箱のコースがいい。

ウインマイティー

この馬もエリ女で惨敗した組。16着は負け過ぎだが、元々は速い馬場でパフォーマンスを上げる馬なので、結果は仕方ない。内枠を引いたら一発、、、と考えても良いかな。

ヴェラアズール

前走ジャパンカップはこのブログでも厳しめの評価をしていたんだけど、ムーア騎手の騎乗も含めて、驚くべきパフォーマンスだった。

出脚に不安がある中で中団馬群で待機して、内の狭いスペースを縫う器用さも見せてきた。後半4Fで11秒台を踏み続ける速い脚比べになってもシャフリヤール、デアリングタクトらより一枚上の決め手を持っていたので、改めて高評価したい。

有馬の舞台に関しては、加速力よりも持続力や立ち回りも求められるので、イクイノックス同様に、タフな持久戦とかになってくると脆さは出そうかな。加えて松山騎手に乗り替わる点は正直難しいと思っていて、前走の思い切った位置取りもムーア騎手ならではのスペシャルな騎乗なので、なかなかアテにはしにくいところ。

エフフォーリア

昨年の勝ち馬。今年は2走して大阪杯9着、宝塚6着。得意舞台の東京でのレースを見たかったが、前走後に状態がなかなか戻らなかったという事で秋天やJCを回避してこのレースに挑むことになった。

大阪杯の惨敗は初輸送で調整が上手くいかず~というのが敗因として、前走はブリンカーを初着用するほど陣営が困っているのを見ても、本調子ではないのは違いない。

展開、適性どうこうよりも、休ませてリフレッシュできているかが最大のポイントだと思う。絶対的な武器は21年ダービーや天皇賞秋で見せたギアチェンジの鋭さだけど、ハイペースでも有馬や皐月賞でやれているので、力戻れば着内は全然あると思う。

ジェラルディーナ

前走エリザベス女王杯で初タイトル。

器用にラチ沿いを立ち回ったオールカマー、重馬場で外を回しつつ脚を出し切ったエリ女と異なる展開で走れているのは本格化の証拠なのだろう。

近走はテンションも抑えられていて、精神的な落ち着きも見せているので、距離が延びるのは悪くないだろうし、小回りでコーナリングを求められる中山もタイプ的に合っているので、ここは舞台適正は高い。

ジャスティンパレス

前走菊花賞で3着。ペースが流れた中で大外の枠から内目を取り切れた騎乗も上手かったし、折り合いに不安も見せなかった事から距離延長は向いたと思う。

アスクビクターモアが早めに勝負に行った中でコーナーから動けていたので、機動力も十分。正直、この展開は持続型のボルドグフーシュに向いた流れだと思うので、一つ内を回ったとはいえ、この馬はかなり健闘した。

神戸新聞杯で見せた緩い地点からの加速力がこの馬の武器なので、内枠を引いて、スローからギアチェンジを問われる展開になれば結構いい勝負になると思う。

タイトルホルダー

前走は初の凱旋門賞に挑んだが11着に敗れた。質が違うので凱旋門賞の振り返りは割愛するとして、個人的には今年の宝塚記念でまた一枚タイトルホルダーが強くなったと思っている。これまではギアの上げ下げや緩急の使い方を武器に、中盤で大きく息を入れつつ、終盤で再加速して相手を突き放すレースを得意としていた(菊花賞春天など)

しかし、宝塚は中盤に息が全く入らない展開の中、3,4角でパンサラッサに離されず勝負しに行って、4角先頭で押し切れた。

逆に去年の有馬では同じことをやって、後続に差されているので、有馬~宝塚の間でのタイトルホルダーの成長が著しい事がわかる。

今回はパンサラッサもいないし、先行勢もウインマイティーとディープボンドぐらいなので展開も向きそう。多分この馬を本命にするだろうね。

ディープボンド

昨年の2着馬で前走は凱旋門賞に2年連続の挑戦で18着。それでも国内では堅実に走れている。

ただ、昨年有馬で先着したタイトルホルダーに春天、宝塚で逆転されているので、なかなか難しい所。しかし、先行勢も少なく、持久戦にも対応できるタイプなのでここでも上位には食い込んできそう。今年の宝塚に関してはタイトルホルダーがおかしなペースを押し切っているので、それを3番手からバテずに追いかけたこの馬も高い評価をしていいと思う。

ブレークアップ

前走アルゼンチン共和国杯の勝ち馬。3番手の好位に付けて、スローの流れに乗りつつ終盤も11秒中盤の脚を連続してこれた。ただ、落馬の煽りを受けなかった部分はあると思うし、ここまで条件戦でも速い流れになった展開で大崩れしているだけに、メンバー強化で、タイトルホルダーのような強い逃げ馬と対峙した時に追走力で弱さが出てしまうかなと。

ボッケリーニ

前走ジャパンカップは初G1出走で17着に惨敗。兄ラブリーデイとは違って速い脚を出せる訳ではないので、速いラップを問われる東京は適性外だった。

その代わりに距離は融通が利くので小回り2500mの有馬の方が適性は向きそう。ただ、スローペースを内でロスなく進めて早めに抜け出す形でしか好走できないので、強い先行馬がいると難しいところ。まずは内枠が欲しい。

ボルドグフーシュ

菊花賞2着馬。神戸新聞杯はスローのギアチェンジ勝負で、後方から脚を余してしまい3着。前走菊花賞はアスクビクターモアが速い流れから3,4角で勝負しに行く展開を差してきてあわやの2着。

この馬にとってはコーナーから勝負しに行く流れが合致したと思うし、エンジンの掛かりが遅いタイプなので、これがベストレースだろう。

菊花賞組の2頭は本来なかなか共存するタイプではないので、どちらに展開が向くか。前半から流れつつも3,4角仕掛けという菊花賞古馬では宝塚のような展開になってくれれば割とハマりそう。

ポタジェ

今年は大阪杯で初G1勝利を挙げたがその後は低迷気味。ただ、東京コースで決め手勝負はこの馬には合わないので、度外視してもいい。

大阪杯の好走の要因はペースが流れて切れ味を問われなかった事だと思うので、2500mは自身最長の距離なんだけど、ヒヨらず位置を取れるかが鍵だろう。

どうしても中団、後方からだと決め手で2枚ぐらい落ちるし、タイトルホルダーを見ながら先行策は取りたいだろうね。

ラストドラフト

戦績的にここでは足りない。決め手がある訳でもないから、今後重賞でも活躍するならある程度ポジションは欲しい。最近結構いいスタートは切っているんだけど鞍上が多分意図的に下げて切れ味勝負に持ち込んでるから、それだと今後も難しいかな。

 

まとめにかえて。

いつもブログご覧になっていただきありがとうございます。ここまで見てくれた方たちはちょいちょいブログを覗きに来てくれている方だと思うので、この場を借りて一年の感謝を伝えたいと思います。

今年の有馬記念は少し特別な感じもあって

大阪杯→ポタジェ

天皇賞春→タイトルホルダー

宝塚記念→タイトルホルダー

天皇賞秋→イクイノックス

エリザベス女王杯→ジェラルディーナ

ジャパンカップ→ヴェラアズール

と、今年の古馬中距離路線の優勝馬が皆勤しているレースなので、古馬レースの締めくくりとしてふさわしいレースになると思うので、非常に楽しみです。

私の注目はタイトルホルダーVSイクイノックスの構図で、自身はあまり血統に関して詳しくはないのですが、2015年でクラシックを戦ったドゥラメンテキタサンブラックの子供が血を受け継いで、後に国内最大級のレースで対決するという熱さは競馬の醍醐味でしょう。

加えてドゥラメンテ産駒のタイトルホルダーがキタサンブラックのような変幻自在の先行馬となり、キタサンブラック産駒のイクイノックスがドゥラメンテのような豪脚を繰り出す差し馬として活躍するというのも、また競馬の不思議な部分であり、血統の面白い部分であると思います。

後付け長くなりましたが、有馬記念の最終的な印は24日の土曜日に更新予定です。

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