東京11R 日本ダービー
★ポイント
最大のポイントは今週からCコースに替わる事。例年ダービーは1枠の激走が目立っているように、前週から仮柵が3m移動して荒れた最内が隠されるため、内ラチを通した馬が有利になる。
土曜の開催を見た感じだと、前日の雨の影響はなく、良馬場での開催。
めちゃめちゃ高速馬場という訳でもないし、ラチ沿いにはやや傷みが残る。先週と比較して馬場が良いというよりも火曜日に芝刈りをした事で、時計が速くなった印象。
大外一気の差しは届かないが、ある程度の位置に付ければ差しても来れるという馬場状態。
◎ダノンベルーガ
〇ジオグリフ
▲イクイノックス
☆オニャンコポン
共同通信杯の前ぐらいから決めていた本命◎ダノンベルーガ
前走の皐月賞は荒れた内を通した中で4着に敗れてしまったが、3,4角で内が荒れていたという点に加えて、いつもよりも川田騎手がポジションを取りに行って、3角を迎える前から徐々に動く挙動があった事も相まって、直線ではガソリン切れしたという敗因分析としたい。
川田騎手が「必ずダービーに繋がる」とコメントしていたのは、ここまで2戦は広い東京で外を回して末脚全開のレースしか経験していない馬に、G1レースの流れを経験させる為のレースをしたんだと思っている。皐月賞も出来は良かったが、まだ余裕があったし、そのダービーでは追い切りも1週前にとても速い時計を出していて体調面の良さは伺える。
新馬、共同通信杯とハーツ産駒らしい緩さを持ち合わせていながらポテンシャルだけで快勝して見せたが、徐々に馬体も成長してい身が入った今ならダービーは通過点でしかない。
各馬解説
1.アスクワイルドモア
前走、京都新聞杯をレコードタイムで勝利するも、その内容にはやや疑問視している。この週の中京Aコースは開幕週で、土日で高速時計が連発していて、この馬が計測したレコードも翌日の古馬3勝クラスにて僅か1日で更新された。
内容も、4コーナーで無理な位置取りで斜行をして後続をカットして、岩田望騎手は騎乗停止を受けている。勝ったものの、先に仕掛けた2着ヴェローナシチーの好走を上に取りたいレースだったので、今回は能力が一枚足りないと評価。消し。
2.セイウンハーデス
東京のプリンシパルS勝ち上がりもメンバー的にやや評価は低い。
前走、ロングスパート気味でラスト4F勝負を内の4番手から抜け出して長く脚を使って勝ち切った。3走前のこぶし賞はオークス2着馬スタニングローズのアタマ差2着とは言え、瞬発力勝負でそれ程脅威ではないスタニングに対して切れ味で完全に劣ったので、タイプ的にはギアチェンジよりも、持続勝負の方がまだこなせる。
それでも前走は内を綺麗に立ち回った展開の利は働いたと思う。今回は内枠を引けたアドバンテージはあるものの、周りに先行勢が揃ったので、あまり大きな利点にはならないのかもしれない。内の残り方を見て判断したいが消し寄り。
3.アスクビクターモア
弥生賞勝ち馬。外差し展開で先行して5着の皐月賞は高評価したい。
前走、皐月賞はデシエルトが躓いて逃げられなかった事で、鞍上の田辺騎手がスローで流れるのを嫌ってハナで勝負しに行ったという形。結果、傷んだ内馬場の影響もあって外差しが決まる展開となるも、ハナを切って5着は健闘した部類だろう。
気性がネックなタイプなので、前走で逃げた事で前進気勢が乗らないかという中での距離延長がかなり大きな懸念材料かな。ディープ産駒ながらも溜めて鋭さを発揮する脚の使い方ではなく、一定の持続力とコーナーでスピードを落とさない機動力がこの馬の武器なので、中山からの東京替わりは明確にマイナス。やや軽視。
4.マテンロウレオ
前走は、典さんのポツンも外差し乗じて上がり2位。きさらぎ賞馬。
前走の皐月賞は最後方から進み、上がり2位の脚を使うものの、見せ場はなかった。弥生賞も含めて中山2000mで10着、12着と大敗が続き、ホープフルも6着と、小回りでは脚を余すレースをしているので、ベストはきさらぎ賞のようなある程度直線の長い舞台か。距離を延ばす部分はプラスだが、時計の速い東京では後ろから進めても、結局前が止まらない流れになるとしんどいかな。前走ノメったようにも見えたが、現実的には時計が掛かった、直線の長い舞台がいい。消し。
5.ピースオブエイト
前走でドゥラドーレスを破り毎日杯を制覇。3戦3勝で挑む。
毎日杯は雨で稍重開催。少し出負けするも、前残りバイアスを考えて藤岡佑騎手の好判断もあって逃げて勝利。人気馬ドゥラドーレスが内で詰まって差し遅れた事もあり、展開に恵まれた感はあるが、小倉の新馬戦でグランディアとヴェローナシチーを負かしているように、能力の下地は十分だった。
血統的にもタフな条件で狙いたいし、古馬になってから本格化を迎えそうなスクリーンヒーローでもあるが、新馬で速い馬場にも適応しているだけに、こなしてきてもおかしくはない。内の残り方次第では抑えたい。
6.プラダリア
未だ未勝利の青葉賞からの刺客。
馬体重以上にガッチリしていて、ディープ産駒ながらも母父クロフネの影響か、瞬発力勝負よりも持続力勝負で良さが出ている。青葉賞は前日に雨が降っていて、時計以上にスタミナを問われる馬場だったと思うし、ペースも引っ張る馬がいて後半に10秒台、11秒台前半の高速ラップを問われない流れも味方した。
新馬、未勝利の2着続きはいずれも瞬発力勝負で、距離を延ばして良さが出たタイプなので、2400mの距離はベストに近い。今のところどんな流れでも折り合いに苦労する面を見せていないのは、2400m経験値の浅いこの時期の世代限定戦では大きなアドバンテージになりそうで、紐で拾いたい。
7.オニャンコポン
暮れのホープフルSは状態面の不安があり11着と大敗したが、京成杯ではしっかり立て直して勝利。時計が掛かって良さが出るタイプかなと評価していたが、次走の皐月賞では6着に健闘。ジオグリフの後ろをついていき、11.4の加速地点ではやや置かれるも、ラストの末脚比べでは上位勢と遜色ない脚を使えていた。
ゲートで好発を決めながらも、1角の入りでイクイノックスに挟まれてポジションを落としてしまったのが最大の敗因で、元々描いていた位置よりも後ろになってしまった中で、大きな差もなく走ってきたので、能力は全然足りていい存在。
東京の百日草特別が前半63.5秒のドスローで上がり33.7程度なので、高速馬場で大きな優位性はないだろうが、折り合いが付く優等生なので、距離延長は大きくプラスだろう。相手本線。
8.ビーアスドニッシド
前走、逃げずに良さが出ず大敗。和田騎手継続で挑む。
皐月賞はハナ候補のデシエルトが躓いて、ハナを取り切るチャンスはあったが、控えて3番手。スローペースで見せ場もなく後退。好走時は逃げた時で、更にスプリングSは前有利の馬場に恵まれた勝利だったので、現状は決め手に欠ける。
9.ジャスティンパレス
前走、皐月賞直行も久々で良さ出ず。
仕上がり面に関しては追い切りからも良く映ったので期待していた前走だったが、外から動いていくも、同じ位置にいたドウデュースとオニャンコポンに対して明らかに劣っていた。その休み明けの前走よりも上積みがあってもいい頃だが、トップスピードで良さを見せていないので、大箱の東京替わりは頷けない。
10.マテンロウオリオン
NHKマイル2着からの参戦。
前走は1番枠ながらも大外から差して2着に滑り込んだ。展開的にも先行馬が壊滅して、外伸びが顕著な開催だったので、バイアス的には有利に働いた。
マイルでも掛かる面がある分、2400mへの延長はプラスにはならないかなと。今週からはCコース替わりで差しが効きにくくなる面もマイナス。
11.ジャスティンロック
抽選を突破して挑む唯一のリオンディーズ産駒
末脚のレベルはなかなかの武器だが、いかんせん気性が若くて出遅れ癖もあり、トップレベルには一歩足りない印象で、コース替わりもマイナス。
後方から伸びない内を掬って見せ場はあった皐月賞のレースは少し評価はしていいが、気性からも距離延長だと我慢が効かないだろう。買うなら小回りの2000m前後。
13.ドウデュース
前走は上がり最速で3着。朝日杯勝ち馬。
その皐月賞は騎手がハイペースを見込んで後方3番手からの追い込み策。馬場の良い外を通して抜け出したイクイノックスとそれを交わしたジオグリフに襲い掛かるが、一歩及ばず3着に敗れる。
ただ、同じく皐月賞で脚を余す形で敗れたワンアンドオンリーやマカヒキと同等の評価はあまりしたくなくて、道中で中緩みがあって4角手前では馬群も凝縮していて、外を回したロスは大きいにしても、ジオグリフとの差は大きかったとは思う。
武豊騎手は前が流れると踏んで下げたと話しているが、結局弥生賞でも位置を取った事でアスクビクターモアを差し損ねたぐらいなので、距離をごまかす為の後方策でもあったんじゃないかなとは思っている。同じハーツ産駒でもダノンベルーガよりも筋肉質でマイル前後がベストなんじゃないかなと評価している。。この馬のポイントとしては、前走にような極端な位置取りだと厳しいので、どれだけポジションを取れるかだろう。
14.デシエルト
3連勝で挑んだ前走は躓いてハナを譲る形になり惨敗。
岩田騎手の強気な発言もあり、注目度もあって穴人気していたが、出遅れて逃げられなかったというよりも、単純に芝トップレベルだと足りない。若葉Sはラチ沿いを通せた事と時計が掛かったのが勝因だと思っていて、2着ヴェローナシチーはその後京都新聞杯で2着に好走ているも、溜めて良さが出るタイプではないので、この時は苦戦を強いられた面が強いと見ているので、そうなると力は一枚足りない。展開のカギは握っていそうだが、気性面でも延長はマイナス。消し。
15.ジオグリフ
皐月賞はコーナーで進出して見事勝利。福永騎手は優駿2連覇中。
前走は好位の外で外を回して抜け出したイクイノックスを交わし切った。札幌2歳Sでも見せたように、コーナリングでの加速は大きな武器。
それだけでなく、皐月賞に関しては前走からの上積も大きく、追い切りでの反応もかなり鋭さが出ていたし、共同通信杯の時に装着していた右足のエクイロックスも外していたので、脚元を含めて完調だったのだと思う。
その共同通信杯ではダノン相手に1キロ貰いつつも0.3差なら、同斤量なら0.1差で走れている計算にはなるので、東京というダノンの適性舞台でこれだけ走れるのなら、やはり舞台関係なく能力はトップレベルだろう。上記の通り、その頃からの成長があるとするならば、今回も好走してくると思う。相手本線。
16.キラーアビリティ
ダノンの後ろを通して3,4角の馬場が一番悪い所を走ってしまったのは敗因の一つだと思うが、根本的に走れる仕上げじゃなかった。格下の馬に明らかに遅れを取っていた追い切りもそうだし、元々は叩いて良さが出るタイプだったので、ホープフルSから3ヶ月半も間隔を取ったローテが問題だったのだと思う。
内枠を引いたら紐で考えてはいたが、外枠を引いてしまったのはマイナス。前走からの上積み自体はありそうだが、ベスト舞台の中山に仕上げて出てこなかったツケはありそう。
17.ロードルゼル
青葉賞2着で出走権を得たが、内枠が欲しかった。
その前走も離れた番手で内をロスなく通しながらもプラダリアに交わされた。立ち回り重視のタイプなので、東京のCコース替わりで内枠を引けていたならチャンスはあったかもしれないが、外枠に入ってしまったので素直に消し。
18.イクイノックス
直行ローテで皐月賞2着。上積みか、反動か。
皐月賞は中団の外から先に抜け出すも、ゴール前でジオグリフに差されて2着。今どき?の直行ローテで挑んだ背景には、背腰に疲れが出やすい体質との事で、ダービーに照準を当てた訳だろう。
東スポ2歳Sがコントレイル級の後半4Fのラップ。高速馬場で良さが出たとはいえ、スローからの末脚勝負だと世代でもトップクラスというのは証明してきた。
ただ、ローテ的にも大きな上積みはありそうだが、中間の追い切りがかなり軽いのに、調教後馬体重がマイナス6キロというのは不安で、久々を使った体への反動が見え隠れする。それでもダノンベルーガに先着するとするなら、先に抜け出したイクイノックスを交わせず~というレースだと思うので、馬券的には多分抑える。