【クラシック展望】皐月賞全出走馬分析と予想

1.ソールオリエンス

前走京成杯を勝ち、東京・中山で2連勝中。4角逆手前でコーナーを外に大きく膨れるロスがありつつも、目を見張る末脚で外から差し切った。

下したオメガリッチマン、セブンマジシャンらのその後の成績的に、メンバーに恵まれた部分はあったが、この馬自身は抜けた決め手を披露してきたし、2戦2勝で底を見せていない部分は評価したい。

ただ、新馬で出遅れ、京成杯は修正してきたものの、前半1000m62.2で先団まで取り付けないのを見る感じだと、メンバー強化&頭数が増えて追走スピードを問われると2000mでは少し忙しい気もする。

ましてや今回は最内枠を引いたので、恐らく下げて後方待機策になるだろうから、コーナーで弱さを見せた小回りコースの中山の直線で全部まとめて交わせるとはなかなか思えないかな。

以前も書いたけど、ダービーで狙いたい。

2.ワンダイレクト

若駒S2着、弥生賞3着で皐月賞に挑戦。

この馬も3戦して全て出遅れ。二の脚でリカバリは出来ているが、9頭立て→7頭立て→10頭立てと少頭数に助けられた部分はある。内で溜めて一瞬の脚で抜け出すレースを得意としているが、3戦全てスローペースでラスト2F目が最速となるギアチェンジ戦でのもの。L1Fで毎回止まっている辺りからして本質は2000mは長い。

血統的にも母母ワンカラットだけに、ここまで距離は上手く誤魔化して乗ってた感がとてもある。メンバー強化されて、追走で脚を使う流れになると、いくら内で立ち回ったとしても厳しいだろう。

3.グリューネグリーン

京都2歳S勝ち馬で、その後ホープフルS2着のトップナイフを倒した。

その後2戦して大敗を喫しているが、唯一重賞で勝ったこの京都2歳Sは土曜日で阪神Bコース替わり初週で逃げ馬が3勝する超前残りデーだったので、馬場の恩恵は大きい。

更に持続力は大した事ないトップナイフにラストでしっかり詰められている辺りからも、この勝利を大きく評価はし難い。

4.ショウナンバシット

リステッドのすみれS2着、若葉S1着で賞金加算に成功。

内容的にもすみれでシャザーンに負け、前走もラスハンメルにハナ差辛勝なので、純粋に評価はできない。多分道悪になった方がいい。現時点ではスピード不足。

5.フリームファクシ

新馬ではミッキーカプチーノに敗れるも、3連勝を決めて皐月賞にこぎつけた。

気性に難があるタイプだが、前走のきさらぎ賞は好発を切り2番手で追走。4角で並びかけて直線は外目に持ち出して押し切る正攻法で勝利。

ラストでオープンファイアに詰められてはいるが、決め手が魅力の馬でもあるし、交わしたのだから立派なもの。

ルーラーシップ産駒ながら、緩い流れから一気のギアチェンジにここまで対応してきている点では、なかなか素材的に面白い。

レーン騎手騎乗で人気はするだろうけど、紐で抑えるぐらいまでかな。

6.ウインオーディン

新潟2歳Sで2着の賞金を持って出走。

新馬は5着に敗れるも、相手がダノントルネード、シャザーン、ラスハンメル、シーズンリッチという何とも優秀な組。

毎回33秒台の末脚は使うものの、前半要素で不安があり、出遅れや気性の荒さで少し勿体ない部分がある。厩舎曰く、折り合い面を考慮して流れが速くなる1600mや1800mで使われてきたようだが、本質は恐らく2200ぐらいがいいかなと。ここではスピード不足。

7.ファントムシーフ

ホープフルSで4着も、前走共同通信杯で勝利。

そのホープフルは前2頭の行った行ったの前残り。内ラチ沿いから抜け出せず、脚を余す形で敗れたが、次走でしっかり巻き返した辺りは能力は間違いない。

共同通信杯はタッチウッドがハナを奪う中で番手外。前を可愛がりつつ直線半ばで抜け出した。ここまでは新馬も野路菊Sも速いラップで一瞬の脚を繰り出す形で良さが出たが、中距離らしい中盤で緩んで加速していって、113-11.3-11.5と長く良い脚を使えた点はとても優秀。倒したタスティエーラがその後弥生賞を勝つのだからレベルは高い一戦だった筈。

8.トップナイフ

ホープフルSではハナ差2着に敗れて惜しくも2歳王を逃す。

この時は番手のドゥラエレーデと前半スローで溜めて逃げ、ラストの直線で一気に加速して出し抜く形だったので、あまり高く評価はしたくないかな。

暮れの中山でL2Fが11.5って・・・レベルなので。

前走は弥生賞に出走。逃げの手は打たず好位内で溜める競馬で2着。本番を見据えた待機策だっただろうけど、今回は逃げ宣言で飛ばすであろうグラニットがいて、他にも長く脚を使えるホウオウビスケッツなど、前に行く馬でキャラが異なるタイプが揃ったので、緩い流れから一気のギアチェンジ戦にしたい本馬にとっては難しい展開。

9.ホウオウビスケッツ

前走スプリングS2着で出走権を獲得。

そのスプリングSは重開催ながら前半800m47.3-後半49.5の前傾2秒超のハイペース。

中盤でも大きな中緩みのないペースを3番手で先行して、直線でグラニットを交わすも、外からべラジオオペラに差されて2着。流れも速いし、前を捕まえるために3,4角から追って長く脚を使わされているので、とても先行馬には厳しい流れではあったので、この一戦は良かった。

元はフリージア賞で逃げて後半5F11.8-1.6-11.2-11.2-11.9という超ロングスパートをやってのけた馬で、控えてどうなの?と疑問を持ってたぐらいなので、これは素質が高い。

マインドユアビスケッツ産駒でダートっぽいパワー型なのかなという血統背景ではありつつも、速いラップも踏んでいけるので、ダービーとかは先行した時に面白いだろうね。

10.ラスハンメル

若葉S2着で出走を決めた。ただ、前走1000m通過64.0を逃げての勝利なので、価値はあまり高くはないかな。

切れ負けする部分があるので、将来的には時計の掛かる馬場なら良さそう。まだ成長過程で、ここは敷居が高いが、今後に注目したい。

11.シャザーン

リステッドのすみれSを勝利して賞金を加算して参戦。

前半64.4のドスローからの上がり決着なので、メンバーレベルが上がって追走スピードを問われてどうか。少頭数に加えて、相手も弱かった。

全3戦全てスローの上がり勝負しかやってない経験値の薄さはかなりネック。

12.ダノンタッチダウン

朝日杯FSで2着に健闘。直行ローテで皐月賞へ。

その朝日杯はハイペースで前が飛ばす中、出遅れて中団を追走。ラストでレイべリングと伸びてくるも、ロスなく立ち回ったドルチェモアにクビ差及ばず。

一応触れるけど、朝日杯上位馬がその後大きく崩れている点は少し気になるね。

ただ、この馬はデビューから530キロ超の大きな馬体から緩さが抜けず、馬のポテンシャルとエンジンが掛かってからの爆発力だけで2歳G1の2着まで来ているので、昨年からの上積みは大きく期待している。

名門安田厩舎といえばロードカナロア、ダノンザキッド、ダノンスマッシュなど数々のマイル活躍馬を輩出しているが、来年2月に定年を迎える為、NHKマイル出走は今年がラストとなる。この馬のベストは直線の長いコースのマイル戦だと思うので、狙いは次走NHKマイルだろう。

13.グラニット

サウジアラビアロイヤルCでは2着。その後馬券圏内に入り込めないが、ハナ宣言で展開のカギを握る馬である。

淡々としたラップを刻んで後続の脚を削がして、自分は逃げ切るというのがパターン。前走スプリングCも0.4秒差の僅差だったし、マイルらしい流れに持ち込めるかどうか。今回は距離延長でメンバーも強化。前走上手くハマりかけた形ですら外からべラジオオペラやメタルスピードに差し込まれているので、地力強化は必要か。

14.タスティエーラ

新馬戦を好時計で勝ち、共同通信杯で負けるも、次走弥生賞を勝利して出走を決めた。

DDSPや疲れが残りやすい体質の弱さが心配されたが、間隔を詰めたうえで前走はトップナイフ、ワンダイレクトを破ったのは評価したい。

共同通信杯は決め手がないのにファントムシーフの後ろからになって、レース運び自体勿体なかった面はあるが、シーズンリッチも次走毎日杯を勝ち上がっているし、メンバーレベルは高かった。

サトノクラウンで、瞬発力というよりも、パワーや持続力に寄った馬なので、中山を続けて使うのは良いだろう。しかし、本番では装着しないブリンカーを付けた最終い切りは前傾姿勢が強すぎて引っ張り倒していたので、その点は心配。

15.べラジオオペラ

前走スプリングSを勝って無傷の3連勝中。

これまで前に行って良さが出たが、前走は中団に控えた中での勝利。レースはグラニットが逃げて前傾2秒を超えるハイペース。ホウオウビスケッツが2着に粘る所を外から伸びて差し切った。正直このレースは控えて待機策を取ったのがペース的にも向いたと思うし、グラニットにしても、メタルスピードにしてもマイラーだから走れたっていうだけだと思うので、スプリングSは評価が難しい。

セントポーリア賞で下したジェイパームスがその後ホウオウビスケッツに0.7差と完全に千切られている事からも、このスプリングSの1・2着は展開の差なのかなと見ている。

16.タッチウッド

新馬稍重阪神2000mを勝った後、共同通信杯で2着と安定した成績。

前走はゲートで出遅れるも、制御しきれずハナを取り切り、ペースを落としつつも仕掛けは早めでL3F11.3-11.3-11.5とまとめたが2番手で追走してきたファントムシーフには交わされた。散々話したように共同通信杯のレベルは評価していて、4着タスティエーラと6着シーズンリッチが次走重賞で勝利している。

気性の部分の不安は残りつつも、出遅れに関しては前走時でもまだ馬体が緩かったし、しっかり体を作れてくれば問題なくクリアしてくるだろう。

ラニットがいて、トップナイフもいるので、恐らく控えて先行グループの中でレースをする事になりそうだが、べラジオオペラやグラニットを見ながら入れる外枠を引いた事はプラス。

17.メタルスピード

前走スプリングSではハイペースを差してきて3着。

べラジオオペラの時に書いたが、ハイペースで各馬追走スピードが問われる展開でマイラー色が強いレースになった。この馬自身も着内は全てマイルだし、展開利があったのは間違いない。

この馬もゲートが安定しないので、後ろからになってしまうが、マイルの実績からしてもしっかり前目から運べばある程度良い脚は使ってきそう。能力で一枚足りない感はあるが、中山は向いているし、バイアスが外差し、展開が流れてバテ差しになってくれば面白い。

18.マイネルラウレア

前走若駒Sでは上がり2位に0.4差付ける決定的な脚を使って勝利。

出遅れて最後方もペースが上がらず前半63.4で7頭立ての団子状態で馬群から離されずに直線を迎えられたのが良かった。

直線だけのレースではあったがエンジンが掛かってからの伸びは素晴らしかったので、素質は十分。今後もオープンクラスでやれるだけの器ではあると思う。

しかし、7頭立てから18頭立てになるし、これを後ろからぶっこ抜くだけの破壊力があるかというと、なかなかG1路線では難しい。中間の頓挫で弥生賞を使えずに直行となったローテも少し心配ではある。

ゴールドシップらしくトップスピードに乗るまでのエンジンの掛かりにくさはあるが、33秒台を使える末脚の質(最高速度?)というのはゴールドシップ産駒では珍しいタイプなので、今後も楽しみな一頭ではある。

 

中山11R 皐月賞

◎ファントムシーフ

〇タッチウッド

▲ホウオウビスケッツ

☆メタルスピード

△ソールオリエンス

△フリームファクシ

△ダノンタッチダウン